約 4,073,685 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9153.html
戦国BASARAシリーズより黒田官兵衛を召喚 第一章 召喚。不運の軍師、異世界へのいざない 暗の使い魔 プロローグ 暗の使い魔 第一話『異世界』 暗の使い魔 第二話『魔法学院外の決闘』 暗の使い魔 第三話『トリステイン魔法学院』 暗の使い魔 第四話『ゼロのルイズ』 暗の使い魔 第五話『ヴェストリ広場の戦い』 暗の使い魔 第六話『微熱のキュルケ』 暗の使い魔 第七話『魔剣とゴーレム』 暗の使い魔 第八話『ルイズの誇り』 暗の使い魔 第九話『メイド奪還戦』 暗の使い魔 第十話『モット伯邸の戦い』 暗の使い魔 第十一話『盗賊追討戦』 暗の使い魔 第十二話『動き出す物語』 第二章 繚乱!乱世より吹き荒れる風 暗の使い魔 第十三話『異国の男』 暗の使い魔 第十四話『アンリエッタ現る』 暗の使い魔 第十五話『ワルド』 暗の使い魔 第十六話『青銅新鋭戦』 暗の使い魔 第十七話『亀裂』 暗の使い魔 第十八話『ユグドラシルの攻防』 暗の使い魔 第十九話『白の国を目指せ』 暗の使い魔 第二十話『激震』 暗の使い魔 第二十一話『ニューカッスルの夜』 暗の使い魔 第二十二話『仮面の下』 暗の使い魔 第二十三話『羽虫』
https://w.atwiki.jp/dra-gon/pages/40.html
岡本真也(12) 岡本 真也(おかもと しんや、1974年10月21日 - )はセントラルリーグの中日ドラゴンズに所属するプロ野球選手。ポジションは投手。背番号12番。 略歴 * 身長・体重 1m83cm、90kg * 投打 右/右 * 出身地 京都府 * 血液型 A * 球歴・入団経緯 峰山高 - 佐藤工務店 - 阿部企業 - ヤオハンジャパン - アムウェイレッドソックス - ヤマハ - 中日ドラゴンズ(2001年 - ) * プロ入り年度・ドラフト順位 2000年(ドラフト4位) 通算成績(2006年シーズン終了時) * 282試合 31勝15敗3セーブ 374奪三振 防御率3.24 タイトル・表彰 * 最優秀中継ぎ投手 2004年 引用元Wikipedia
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1796.html
タルブの村、フーケ=マチルダは花京院と別れた後もそこに逗留していた。 ワルドにつけられた傷は深く、水魔法を日に何度か使っていくことでどうにか完治はしたものの元の状態には戻っていない。 リハビリが終わるまではしばらくゆっくりするつもりだったのだ。 しかし、そんなことを言ってられない事態になってしまった。 ある日のことだった。泊まっている村長の家で身体を動かし、どこにも違和感がないことを確かめていたら、大気を揺るがす爆発音が耳に突き刺さってきたのだ。 直後には地震のような震動も伝わってきた。 これは明らかに自然の現象ではない。彼女は村長たちと一緒に急ぎ外へ出た。 まず視界に入ったのは何隻もの船が落下している光景だった。 山肌にぶつかり黒煙を上げるもの、森に落下し暴虐の火を撒き散らかすもの、様々だったが、共通点があった。 偶然落ちたものではない。落されたのだ。 マチルダにとって予想外であった。ワルドが戦争をもうすぐ起こすといっていたことは覚えている。 しかし、まさか不可侵条約をあっさり破って仕掛けてくるとは夢にも思わなかったのだ。 「村長さん、村人を非難させな」 「ま、まさか、戦争なのですか?」 「そうさ。しかも………あいつらろくでもないことをするみたいだ」 上空から生まれて初めて見るような巨大な船が下りてくる。 それが錨を草原に下ろし停泊すると、何頭ものドラゴンが飛びたちまっすぐ村にやってきていた。 これは戦争だ。それも、相手は条約を破る歴史的に見てもそういない厚顔無恥。 礼儀や配慮など持ち合わせているはずがない。そんなやつが、敵に遠慮をするか? いいや、示威行為として、見せしめとして、盛大な炎を上げるだろう。 マチルダの勘は当たっていた。 ドラゴンは村の上空に飛来すると、家々に火を吹きかけたのだ。 「逃げな! 焼き殺されちまうよ!」 マチルダが叫ぶ間にも火は燃え移っていく。防衛の術がないためたったの三頭で十分だというのだろう。 空飛ぶ相手は厄介ではあるが、マチルダならば相手はできる。 だが、敵はこれだけではない。戦うというのならばその後ろとも事を構えなければならない。そんな覚悟はない。 こんなところで死ぬわけにはいかないのだ。 そのはずなのに、彼女は杖を持ち走っていた。 村の入り口では男連中が女子供を外に逃がしている。村長からの指示が早かったためにいまのところ怪我人はいない。 転んだ人がいるだけだ。しかし、彼らに向かって一頭のドラゴンが近づき鎌首をもたげ、火を吹いた。 メイジでもなんでもない平民が防ぐことはできない。 が、突然に地が盛り上がり彼らの盾となった。 火は村人に届くことはなかった。 ドラゴンに跨る兵士は背後に振り向いた。そこにはマチルダがいた。彼女が守ったのだ。 「貴様、メイジか」 「そうだよ。まったく、こんなことガラじゃないんだけどね」 「ならば我らレコン・キスタに入れ。貴様の腕なら相当な地位につけるぞ」 ため息をつく。 「あのさあ、なんであんたら馬鹿の一つ覚えみたいにそんなことしか言えないんだい?」 「ほう、何度か言われたことがあるのか。ならば、入るつもりはないのだな? このような状況においても」 マチルダの周囲には、前方のものを含めて三頭のドラゴンがいた。 なるほど、まともに戦って勝てるわけがない。だが、それならまともに戦わなければいいのだ。 マチルダは前に歩いた。 「入ると、決めたのか?」 「んなわけないでしょばか」 ドラゴンが背後からハエのように飛ばされた。村人を救った土、それをゴーレムに変えたのだ。 さらに間断いれずにもう一頭のドラゴンをも殴り飛ばす。 最後のやつは腕の届かないところに逃げ出してしまったが、船に戻すつもりはなかった。 マチルダは燃え盛る家の中から焦げた柱をゴーレムで取り出し、投げつけた。 「おおあたりっと。やれやれ。貧乏くじ引いちゃったわね」 そう言ってマチルダも村から出ようとしたところ、背後から爆発音がした。 自分以外にもメイジがいたのだろうかと思ったが、そうではないと徐々に知ることになった。 爆発は一度ではすまなかった。何度も起こった。マチルダは、それが魔法や自然で起こったものではないということもわかった。 爆発したところからは火も煙も昇ってこなかったからだ。 普通そんなことはありえない。 不審がるマチルダの耳に奇妙な声も聴こえてきていた。 「……………ジャネェー」 人間のものとは思えない、ひどく無機質な声。いや、音というべきである。 マチルダはゴーレムの頭に飛び乗って村を見回し、その声の主を見つけようとした。 一番近い家が爆発した。火は消し飛んだが、そこから彼女のほうに向かってくる小さな物体があった。 それが爆発を起こしたのか、確信はなかったがゴーレムに殴らせた。 つぶれた。そう思った瞬間、ゴーレムの腕が爆発して消えた。マチルダは爆風に飛ばされ地面に降り立った。 「今ノハ人間ジャネェー」 髑髏が付いた走る車、それがその声の主だった。 「……なんだいこりゃ」 それはゴーレムの胴体に突っ込み、圧倒的な質量を持つそれをあっさり爆発させて消し去った。 塵一つ残っていない。 マチルダの背筋が寒くなった。あんなものを食らえばどうなるかわかりきっているからだ。 どうかこっちに振り向かずどっかに行ってくれればと願ったが、そんなわけがなかった。 その子供のおもちゃのような車は彼女に振り向き、走ってきた。 「今ノハ人間ジャネェー」 「―――じょ、冗談じゃないよまったく!」 冗談じゃなかった。マチルダは生まれてこの方、これ以上の恐怖を味わったことがない。 ワルドはまだ人間だった。だから驕りと油断があり、隙を突くことができたのだ。 ところが今回の敵は己の意志というものが存在しない。そのため油断や驕りが生まれることもない。 ただただ自動的に爆破させているのだ。 それだけでなく自慢の巨大ゴーレムのパンチをものともせず、あっさりとこの世から消し去ってしまうほどの能力を持っている。 救いがあるとするならそれは一つ、空を飛べないことだ。 「これで飛行能力までついてたらって考えると、ぞっとしないね」 フライを使い、マチルダは恐ろしい敵から逃れることができていた。 しかし、そいつはマチルダの真下から離れようとはしない。 それを利用していっそアルビオンの船にぶつけてやろうとも考えたが、途中で殺されるか、そうされなくともどのみちなんらかの対抗策を用意されているに違いなかった。 やるだけ無駄である。しかし、ではどうする。 打撃は無意味、かといって魔法を使ってどうにかなるとは思えない。こいつは大火に突っ込んで爆発させまくったのだから。 ……どうしてわざわざ火の中に突っ込んでいったのか。 マチルダは村のことを思い出す。目の前の車は燃えている家を爆発させて回っていた。 それなのにいまはマチルダ自身を追ってきている。人間を狙っている、のは間違いない。 だが、識別する方法は視覚的なものではない。なにか、条件があるはずだ。 そうでなければ、車の近くに落ちたときに殺されている。 なぜあのときゴーレムに向かったのか。なぜ燃えている家を爆破させていたのか。 その理由は―――温度。 ゴーレムはドラゴンの火を浴びて熱せられていた。だから先に向かったのだ。 しかし、答えがわかったところで、どうだというのか。学院の宝物庫に匹敵する頑丈さをどうやって攻略するのか。 いや、それより、どうやってこの状況を脱するのか。 そのうち魔力は切れてしまう。そうなったら………… マチルダが悩んでいると、視界に数十人の軍勢が入ってきた。 彼らは恐らくここら一帯の領主であるアストン伯とその兵士たちだろう。 領土内に侵攻されたので黙っちゃおれんとばかりに出征してきたのだ。 その行為はすばらしいものだ。領民を捨てずに戦いにきたのは。 だが、彼女に言わせれば、それは勇気でもなんでもなく蛮勇である。確実に、死ぬ。 ノミが人間に勝てるか。 彼らはそのままマチルダのほうに近寄ってきた。車は距離があるからかまだ彼女の真下にいる。 「貴女に尋ねるが、村人たちはどうなった」 精悍な顔つきをした男だった。鎧の装飾からして伯爵だろう。 「みんな無事さ。家や田畑はあんなことになっちまったけどね。それより、あんまりこっちに近寄るんじゃないよ。あたしの真下にいるやつが村をあんなふうにしやがったんだ」 正確には違うが、こうでも言っておかなければ不用意に近づいて爆死してしまう。 余波にやられてはたまらないのだ。 ところが、いいのか悪いのか、この伯爵はモットとは大違い。 善人だった。 「わかった。なら、まずは貴女を助けよう」 伯爵がそう言うと、一人のメイジが詠唱を始め、よりにもよってファイアーボールを投げてきた。 突如生まれた高温、車はそれにまっすぐ向かい、爆発した。 「今ノハ人間ジャネェー」 「よ、余計なことを!」 車はマチルダ以外の温度に気づいてしまった。 馬、人間、よりどりみどりだ。 「逃げな! そいつは『ぶっ壊れ』ない!」 せっかくの警告を聞いちゃいなかった。一人の兵士が馬から下りて剣を叩きつける。 しかし、パキンとあっけにとられるほどの間抜けな音を立てて真ん中から折れてしまった。 そして、その無知な兵士はこの世から消えた。 マチルダは即座にフライを切った。すると重力の鎖に絡め取られ落ちていくがその最中に遠くへファイアーボールを投げ込んだ。 車はそちらに向かって走っていく。そして、爆発した。 「なんなのだあれは! 彼は一体どうなったのだ!」 「死んだんだよ。よくわかんないけど、あの車は温度が高いところに走って爆発するんだ。跡は残らない」 マチルダの話を聞いても伯爵はまだ半信半疑だったが、もう一度遠くに火をつけると車はそちらに向かっていき爆発した。 「……何者かの使い魔であるのか?」 「わかんないけど、その可能性はあるわね」 もしくは、花京院と同じスタンドか。これならもっと話を聞いておけばよかったと考えかけたが、いまはそんな場合ではなかった。 車は彼女らの方向に走ってきている。 また遠くに火を点けて遠ざける。 「尋ねるが、村人たちはいずこに」 「南の森。そっちに避難しているよ」 「そうか。皆のもの、あの魔物は私が引きつける。その間に村人たちを館へ誘導しろ」 「……正気かい?」 「無論。こういうときに殿を勤めるのがメイジである。貴女は逃げても構わんぞ」 「そういわれてハイハイ逃げられたらいいんだけどね」 「人がいいな。『土くれ』のフーケよ」 「ばれてたのかい。まったく、こんなのあたしのガラじゃないのに。 なんでこうも貧乏くじを引かされるのかね!」 マチルダはあちらこちらに火をつけて兵士たちのために時間を稼いだ。 アストン伯も協力してくれるが、いつまでもこんなことをしていられない。 そのうち精神力か体力が尽きてしまい世界からさよならだ。 「案はあるかい?」 「ある。極々簡単な方法がな」 「マジで? じゃあやってみなよ」 アストン伯は短く詠唱すると、車の前方に水を生み出した。そして、衝突した瞬間、がちがちに凍らせてしまったのである。 車はごろごろと残った勢いで転がったが、爆発するようなことはなかった。 マチルダは恐る恐る触れてみても分厚い氷に覆われているせいか爆発はしない。 たぶん、標的を抹殺するためにある程度近づく必要があり、それを温度で確かめるのだが、氷に覆われているためそれを感知できないのだろう。 「……機転が利くじゃないか」 「お褒めに預かり光栄だ。しかし、なにもかもが遅かったようだ」 二人の視線の先には、陣を広げ始めているアルビオンの軍隊が見えた。 元々数十人の軍勢など歯牙にもかけていない。使い魔かなにかがこのような事態になろうとどうだっていいのだ。 「一泡、吹かせてやりたいもんだね」 「まったくの同感だ。彼奴らは、罪なきものたちの命を軽々と奪おうとしたのだ。 貴族ではない。もはや蛮族である」 「ともかくいまは待ちだね。それしかできない」 「うむ。貴女も館に来るといい。どうせ盗むものは何もないが気落ちしないでくれたまえ。 いや、一つあったか。ものではないがな」 王宮ではレコン・キスタの侵略戦争に対して会議が進められていた。しかし、まったく進むことはない。 ただ情報が真偽に関わらず飛び交っているだけに 過ぎず、参加している誰もが内容を把握し切れていなかった。 確かなことは戦争が始まったこと、王女の婚姻が延期になったこと。 たったの二つだった。 その騒々しい会議室から離れた宮廷の中庭では、とうに魔法衛士隊が出陣の準備を終えていた。 ただ、状況が状況だけにすぐさま出ることはできないということを面々はわかっていた。 これがもし、周到な準備をしてからの『正々堂々』とした戦争であれば話は違っていただろうなと衛士の一人であるアニエスは思っていた。 そもそもグリフォン隊の隊長が裏切り者だと判明してからまだ半年もたっていない。 混乱は表面上治まっているに過ぎず、部隊の再編成はまったく進行していない。そこへ狙ったかのように、いや、狙って戦争だ。 このまま反抗せずに降参という可能性もある。 「困ったものだ。なあ、4」 『腹減った。干し肉くれ』 アニエスはため息をつき、話し相手の小さな人間らしきものに小さく切り分けた肉を与えた。 彼か彼女かの額にはあるルーンが刻まれており、見た目は使い魔のようであるため彼女は一応貴族連中に混じって隊に入ることはできた。だが、所詮平民であることには変わりない。 彼女は常に最前線で命を張らなければならない。 『さっきの話だけどよぉー、アニエス、たぶんお前の心配は無用だぜ』 「なぜだ?」 『そりゃあお前が不吉だからだよ。俺がついているんだぜ。安全なんてものとは程遠いさ。 なにせ、元の主人つうか本体だかいうやつはその不吉を嫌って俺を認めなかったぐらいだからな』 4は腹を抱えて笑った。 『ほれ見ろ。姫様がでてきたぜ』 彼の言うとおりだった。王女は中庭に出てきて出撃を伝え、自らもユニコーンに跨った。 『やっぱ俺がついてるから不吉だな。今度ばかりは死ぬかもしれないぜえ』 「死なない。死ねないからな」 ルイズはンドゥールと学院の玄関先で王宮からの馬車を待っていた。アンリエッタの結婚式に出るためである。 ちなみに、いまだに詔は完成していない。 はっきり言うと才能がないというのもあるがンドゥールが旅立ってから数日前、あの夜が明けるまですっかり忘れてしまっていたからだ。キュルケやギーシュには呆れられてしまい、それでも即興でなんとかしようとしたがどうにもならなかったので王女の側近であるマザリーニに助言を頂こく腹積もりであった。 しかし、それも結局無駄なことだった。 ンドゥールがピクリと妙な動きをした。ルイズがどうしたと尋ねる前に彼は地べたに座り込み、杖を耳に当てた。 「……なにか聴こえるのね」 「…………馬車が来るのであったな。ルイズ」 「ええ、そのはずよ」 「いま来ているのは馬一頭だ。それもなんらかの、喜ばしくない事態を伝えに来ている。限界以上の速度を出しているために馬が疲弊しているのが足音でわかった」 ルイズは目を細めて遠くを見やった。その数分後、彼の言ったとおり早馬が駆けてきた。乗っているのは服装から王宮のものであった。 その人物はルイズたちの前で馬を止めると焦った口調で学院長の居室を尋ねてきた。 教えられると一目散に走っていく。 「なにがあったのかしら。ンドゥール、聴ける?」 「ああ、できる。サイレントとかいう魔法は使う暇もないだろう」 それからしばらくし、ンドゥールはルイズに語った。 「宣戦布告、だそうだ。アルビオンが不可侵条約を破り攻め入ってきた。現在、タルブが占領されているそうだ」 シエスタの故郷であるとンドゥールは教えてやった。 「村は全焼だが村人は全員無事だが………そこに陣を張りラ・ロシェールで軍同士がにらみ合っているとのことだ。準備が早かったのか制空権を取られて難儀しているらしいな」 「つまり、戦争が始まった、のよね」 「そうだ」 ルイズはそれを聴き、頭が真っ白になってしまった。また戦争、また人が死ぬ。どうしてもアルビオンの人たちを思い出してしまう。 「なんなのよあいつら。なんでそんなに戦争が好きなのよ。なんでそんなに奪いたいのよ」 「さあな。よほど不足なのだろう。だから戦争など仕掛けるのだ」 ンドゥールが歩き出した。そのあとをルイズがついていく。 「どこへいくの?」 「花京院を起こす」 そう言って、彼が向かったのはコルベールの研究室であった。 花京院はそこで寝泊りしているのだ。 いきなり起こされすこし不機嫌であったが、事情を聴くと花京院ははっきり目が冴えたようだ。 すぐさまコルベールを叩き起こしてゼロ戦を動かせるようにしてもらった。 ガソリンをゼロ戦に注いでいる間にルイズが二人に尋ねる。 「これで、どこにいくつもりなの?」 「タルブの村だ。そうだろ?」 「ええ。なにせこのゼロ戦は譲り受けたとはいえ、あの村に骨をうずめた佐々木武雄さんの誇りであり魂だったんです。助けにいきますよ。君はどうするんだい?」 「シエスタには恩を受けている。命の、というわけではないが、放っておくわけにもいかん。 それに、あの村にはフーケだったかマチルダもいる。俺はアルビオンであいつに助けられ……てもないな。もともとあの場に残ったのはあいつが原因だったか。それでも、指を奪っておいてなにも復讐をされなかったのでな、ついでに助けにいくか」 「彼女はついでか。サポートはしてくださいよ。毎日操縦法を教えられていてもぶっつけ本番なんですから」 「わかっている」 二人はゼロ戦の風防を開いて乗り込もうとしたのだが、ンドゥールのマントが弱い力で引っ張られた。 「私も連れて行きなさい」 ルイズだった。 「……詰めれば三人で乗れるんじゃねー? ああ、久しぶりの発言がこれか」 なにかを諦めたような口調でデルフリンガーが言った。それはその通りではあるが、行き先に問題がある。 「なにをしにいくのかわかってるのか?」 「わかってるわ。わかってるからいくのよ。それに、あんたは私の使い魔。目の届かないところで勝手をされるわけにはいかないもの。それに、なんだかね、こう、根拠はないけどいけそうな気がするの」 「まあいいんじゃねお二人さんよ。嬢ちゃんが危なくなるような事態になったら相棒が責任もって守ればいいんだし」 「そうですね。大体危なくなるっていうときは僕たちも危ないんですから。 それじゃあ乗ってください。一度、元の場所で飛行機が墜落したことがあるので祈っててくださいね」 花京院が冗談気味に笑い操縦席に座った。その背後、元々無線機が詰め込まれていたスペースにンドゥールとルイズが座った。クッションが敷かれてあった。 それは、いつか二人でどこかに飛び立つからだろうとルイズは思い、少しだけ苦しくなった。 コルベールが前方から風を吹かせる。花京院は慎重にだが適切なスピードで作業をすすめていく。 ここ数日、彼は学院に来てからンドゥールに付きっ切りで操縦法を教えてもらっていた。 何度も何度も繰り返し行ってきた。 間違いはない。 ゼロ戦は、いま、再び空へと駆け上る。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9215.html
前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第六十七話「ハーフエルフの娘」 隕石小珍獣ミーニン 悪質宇宙人レギュラン星人 登場 入室してきた金髪の少女へと顔を上げた才人は、途端に硬直した。彼女の美貌に……容姿に、 思わず心を奪われてしまったのであった。少女の顔立ちは、宇宙一美しいと言われる 怪獣ローランもかくやというほどだった。 しかしそれ以上に目を引くところが、胸であった。何という大きさであろうか! 才人は生涯に これほど大きな女性の胸というのは見たことがなかった。魔法学院一と謳われるキュルケ以上。 たとえばルイズとは、最早比べることすらおこがましい。これぞ大怪獣サイズだ。 「ば……バスト・レヴォリューション!?」 才人はそんなことまで無意識下に叫んでいた。だがそれで少女がビクリと震え上がった。 怖がらせてしまったか。 「ほ、本当に大丈夫? さっきから変なこと言ってるけど……」 「あ、ああいや、大丈夫だよ。今直面してる現実に色々と驚いただけだから」 適当にごまかした才人はベッドから起き上がろうとする。しかし大分長いこと眠っていて、 身体がなまったからか、ふらついて倒れそうになる。 「わわッ……!?」 「あ、危ない!」 傾いた身体を、少女が受け止めてくれた。その際の衝撃で、少女の金色の髪がはだけて、 隠れていた耳が露わになった。 ツンと尖っていて、見慣れない形だ。物珍しさから才人が凝視すると、少女は慌てて自分の耳を両手で隠した。 「ご、ごめんなさい」 「え?」 「でも、安心して。危害をくわえたり、しないから」 何を言われているのかよく分からなかった。もしかして、自分が怖がっているとでも思われたか。 「違う違う。あまり見ない形の耳だから、つい見つめちゃって」 その言葉で、少女は何故か呆気にとられる。 「……ほんとうに、驚いていないの? 恐くないの?」 聞き返され、才人は肯定する。少し耳が尖っているから、何だというのか。様々な異形の 宇宙人を見てきた身からしたら、そんなのは誤差みたいなものだ。 少女はほっとしたような顔になった。 「エルフを恐がらない人なんて、珍しいわ」 「エルフ?」 聞いたことのある名前だった。確か、ハルケギニアの“東方”に住むという種族の名前だったはずだ。 凶暴で、それこそ怪獣と同じくらいに恐れられているということだったが……それと目の前の少女は とてもではないが結びつかない。 「そう、エルフ。わたしは“混じりもの”だけど……」 自嘲気味につぶやく少女。何やら複雑な事情を抱えているみたいだが、初対面でいきなり 根掘り葉掘り聞くのは図々しい。 そこで才人は、まず自己紹介する。 「礼が遅くなったけれど、助けてくれてありがとう。俺の名前は平賀才人。君は?」 「わたしはティファニア。呼びにくかったら、テファでかまわないわ」 お互い名乗ったところで、さっきの小怪獣が舞い戻ってきた。 「キューキュウー」 「おいおい、もっと優しく運んでくれよ。折れたりはしねえけど、振り落とされるのは気分が いいもんじゃねえからな」 小怪獣はデルフリンガーを抱えていた。 「デルフ!」 「いよぉ相棒……。やっと目が覚めたか。よかったよかった」 「ミーニン、サイトの剣を持ってきてくれたのね。ありがとう」 「キュー」 小怪獣の頭をなでるティファニアに、才人はその怪獣について尋ねる。 「そのミーニンっていう生き物は、ここで飼ってるの?」 「ええ。最近、近くの森の中でうろうろしてるのを子供たちが見つけて、連れてきてね。 見たこともない生き物だから初めはビックリしたけれど、すごく大人しいからそのまま置いてるの。 今では子供たちの良いお友達よ」 「キュッ」 ティファニアはミーニンをそう紹介した。 それからデルフリンガーとティファニアが、才人が意識を失っている間のことを説明してくれた。 限りなく死んでいた才人をデルフリンガーが能力で運び、そこを偶然ティファニアが発見。 先住魔法の力が込められた指輪の最後の一回を使い、才人の命をギリギリのところで復活させたこと。 そのことに才人は、心の底から感謝しきりだった。 しかし、何かお礼がしたいところだが……その前に、自分はとんでもない問題にぶつかっているのであった。 「デルフ、大変なんだよ! 左手のルーンが消えちまってるんだ! これってどういうことなんだ!?」 先ほど確認した通り、左手の甲には確かにあったはずのルーンが、跡形もなく消えている。 それについてデルフリンガーは、こう説明した。 「使い魔の契約が外れちまった理由……そいつはやっぱ、相棒が一度死んだからだろうさね。 使い魔は死ぬとルーンは消えるんだ」 「でも、俺は生き返ったんだぜ。ルーンも復活しないのか?」 「先住の魔法のことは、メイジの扱う魔法じゃ想定外だ。そういう機能はないんだろうね」 「自動で戻ったりはしないってことか。それじゃあ……もう一度契約したらいいんじゃないか?」 「おすすめはしないね。メイジは使い魔が死ねば、次の使い魔を召喚できるが……使い魔にとって、 “契約”は一生もんだ。生きてる状態で“契約が外れる”ってことがまずありえねえ。そんなわけで、 メイジと二回目の契約をした使い魔の存在なんか聞いたことねえし、やっちまったら、そいつの身体に 何が起こるかわからねえよ」 思った以上に難しい問題のようだ……。サイトが重い顔をしていると、二人の話を端から 聞いていたティファニアが目をパチクリさせた。 「人が、使い魔……? そんな話、聞いたこともないわ。サイト、どういうことなの?」 「あッ……」 回答に窮する才人。そのことを説明しようとすれば、話が『虚無』に行き着く恐れが大だ。 さすがにティファニアを自分たちの事情には巻き込めない。 「えっと、その……色々込み入ったことがあってさ……おいそれと教えられることじゃないんだよ。ごめんな……」 仕方なく、無難にごまかすことにした。幸い、ティファニアはそれ以上突っ込んでこなかった。 「そう……仕方ないわよね。人には秘密の一つや二つ、あるものだもの。……わたしには 聞かせられらいことがあるのなら、しばらく席を外すから、その間に話し合ってちょうだい」 それどころか気を利かせて、ミーニンを連れて退室していった。才人は彼女の後ろ姿へ、 小さくお礼を言った。 「それでなんだけど、デルフ……もう一つ、大変なことがあるんだ……」 「わかってるぜ。その左腕の腕輪……もう一人の相棒のことだろ」 力なくうなずく才人。正直、ガンダールヴのルーンが消えたことよりも衝撃の大きなことであった。 ゼロが、目を覚ます気配がないのだ。 「ゼロ、どうしちまったんだろう……。どうして俺が目覚めたのに、ゼロは眠ったままなんだ? おかしいじゃないか……」 「さすがにそこまではわからんね。ただ……」 「ただ?」 「……あの嬢ちゃんの指輪に残ってた魔力は、一人分だけだった。だから下手したら……」 デルフリンガーの言葉の先を、才人は青い顔でさえぎる。 「そんな馬鹿な! 俺とゼロは一心同体なんだ! 他ならぬゼロがそう言ったんだ! だから…… 俺だけが助かったなんてこと、あるもんか!」 「だから、もしかしたらって話だよ。単にもう一人の相棒は、まだ力が戻ってねえだけってことも 考えられらぁ。何せすげえ決着のつけ方だったからな。あんなん、誰にも真似できねえや」 「……ゼロ……」 才人はひたすらに、ゼロの身を案じる。 偉大なる勇士、ウルトラマンゼロ。思えば、自分が勇気を持って戦えたのは、ずっと彼が 側にいたからかもしれない。自分が見守られていることを実感していることで、ただの高校生だった 自分が戦場に立てたのかも……。そのゼロがいない今……ガンダールヴでもなくなった自分に、 どれだけの価値があるのだろうか。 一人で暗い気分になっていると、窓の方から聞き覚えのある声が聞こえた。 『ああ……! やっと見つけました……!』 よく聞き慣れた、爽やかな雰囲気の声音。振り返れば、窓のガラスに銀色の戦士の姿が映っている。 「ミラーナイト!」 言うまでもなく、ミラーナイトだ。彼は才人の姿を確かめ、非常に安堵している様子であった。 『よかった……本当によかった……! ずっと捜してたのですよ……! サイト、あなたが 生きてて何よりです……。本当に犠牲になってたなら、私たちはどう償えばよかったのか……』 かなり興奮しているようだったが、ミラーナイトは呼吸を整えて落ち着く。それから、才人へ呼びかけた。 『さぁ、サイト、皆の元まで帰りましょう。皆、あなたが死んでしまったのではないかと心配してるんですよ。 特にルイズがひどく落ち込んでて……。しかし、あなたが見つかった以上はそれも終わりです。 皆を安心させてあげましょう』 だが、才人はそれに応じることが出来なかった。 「ミラーナイト、ごめん……。わざわざ捜してもらったのに……今は、それは出来ないよ……」 『え? ど、どうしてです? そういえば、何やら様子がおかしいですが、もしかして何かあったのでしょうか……?』 心配して尋ねるミラーナイトに、才人は今の自分の状態を打ち明けた。そしてうつむき気味に なりながらつぶやく。 「今の俺が帰ったところで、何が出来る? 何も出来ない……。俺はもうガンダールヴでも、 ウルトラマンでもない、ただの人間に逆戻りしたんだ……。こんなんじゃ、また敵が現れた時に 誰も守れない。帰っても、ルイズをガッカリさせるだけだよ……」 『……』 ミラーナイトは何か言いかけたが、今の才人には何を言い聞かせてもどうしようもないと 判じたのか、口に出すことはなかった。 『……分かりました。サイト、あなたにはしばらく気持ちを整理する時間が必要みたいですね。 では今日は、私はこのまま引き上げます。ルイズたちにも、あなたを見つけたということは話しません』 でも、とつけ加えるミラーナイト。 『ジャンボットやグレンファイヤーには伝えますよ。あの二人も私と同じように、あなたのことを 捜し続けてますので』 「うん、分かった。無理言ってすまないな……」 『……ゼロが目覚める時、そしてあなたが本当の意味で元気になる時が早く来ることを、祈ってますよ』 その言葉を最後に、ガラスからミラーナイトの顔が消え失せた。 「……」 残された才人は、じっと無言のまま立ち尽くした。その背中からは、あまりにも大きな悲痛さが にじみ出ていた。 その翌日、才人は肉体的には完全に復調した。元々、命自体が消えかけていた状態で特に目立った 外傷はもらっていない。そのため回復が早かった。 世話にばかりなることに引け目を感じた才人は、何か出来ることをしようと手伝いを申し出た。 遠慮するティファニアを半ば強引に押し通して、今は薪割りを行っている。 「はぁ……」 しかし薪割りを行う才人は、ため息を吐いてばかりでかなりブルーだった。薪を割る手つきも、 かなりもたついている。斧を振り下ろしても、ガスッ、ガスッ、と薪に食い込んでばかりで、綺麗に割れない。 その手際の悪さも、彼が落ち込んでいる要因の一つだった。ガンダールヴのルーンがある状態で 斧を握れば、薪を割るくらいハイスピードでやってのけるはず。本当にその力を失ってしまったのだと いうことを実感してしまった。 「ほんとに、何の力もないただの人間に逆戻りしちまったんだな……」 「そうしょげるなよ、相棒。伝説じゃなくなっちまっても、相棒は相棒に変わりねえだろ? 少なくとも、俺にとっちゃそうだよ」 ため息を吐いてばかりの才人を、近くに立てかけたデルフリンガーが慰めた。すると才人が聞き返す。 「俺が、ガンダールヴじゃなくなっても、お前はいいのか? お前はガンダールヴの剣なんだろ?」 「いいさ。六千年も生きてきたんだ。俺にとっちゃあ、相棒との時間なんて一瞬みてえなもんさ」 「でも、ルイズはそうじゃねえんだよな」 「まあね。それにあの娘ッ子は現役の『虚無』の担い手だ。また何か問題が降りかかるってのは、 十分に考えられる」 「そういう時に、戦える力のない奴がいたって、邪魔なだけだよな……」 「まあ、間違っちゃあいねえな」 ヤプールは倒れた。しかしこのハルケギニアから悪の芽がなくなった訳ではない。別の魔の手が ルイズに目をつけることはあり得る話。その時に、ガンダールヴでもない自分が側にいたら むしろ足手纏いだ。それは忍びなさすぎる。 しかしルイズのところへ帰らないとしても、これからどうするべきか。時が来れば、地球には いつでも帰れるという心積もりでいたのだが、ゼロが目覚めない以上は帰る手段がない。 まさかこんなことになるなんて夢にも思っていなかったので、才人はすっかり途方に暮れていた。 「ゼロも一緒に目覚めてくれたら、少なくともこんな思いはしなくて済んだのに……って、 俺は本当にゼロ頼みだな、はは……」 自分一人では一歩も踏み出すことが出来ないことを自嘲しながら、次の薪を割ろうとする。 だが……切り株の上に置いたはずの薪が、綺麗さっぱりとなくなっていた。 「あれ?」 どこかに転がっていったか? と思って周りを見回すが、それらしいものはどこにもなかった。訝しむ才人。 「デルフ、確かに俺、ここに薪を置いたよな。どこに行ったか知らないか?」 「いや。見てなかった」 大層不思議がる才人だが、何かの記憶違いだと思い、気を取り直して次の薪へ手を伸ばす。 しかしその時、才人が掴もうとした薪にどこからか飛んできた光弾が当たり、一瞬にして 跡形もなく燃やし尽くした! 「!? 誰だッ!」 明確な異常事態だ。才人が振り返って叫ぶと、光弾の飛んできた方向の森の陰から、異形の シルエットが姿を現した。 『フハハハハハ! 貴様はウルトラマンゼロの変身者だなぁ~! こんなところで発見するとは 思わなかった!』 首があるべきところが三角錐になっているような、鈍色と紫色ののっぺらぼうの怪人。 ハルケギニアの生命体ではないとひと目で分かる容姿であった。 「宇宙人か!」 『如何にも! 私はレギュラン星人ヅヴォーカァ! 宇宙一の嫌われ者だぁ! ウルトラマンゼロの首は、 この私が頂く!』 レギュラン星人と名乗る宇宙人は堂々と宣言した。まさか今、宇宙人に狙われるとは思っていなかった 才人は激しく動揺するが、それを相手に悟られないようにするかのように身体の震えを抑え込んだ。 「ヤプールは倒れた! それなのに、まだハルケギニアを狙うつもりなのかよ!」 『当然だぁ! ヤプールが死に、宇宙人連合もまた分解したが、私はそんなものがなくともこの美しい星を 我が物にするつもりだった! むしろ競争相手が勝手にいなくなってラッキーというところだ!』 レギュラン星人は根っからの侵略者。ヤプールとは関係なしに、ハルケギニアを狙っているという。 しかもこんな時に限って、自分が狙われてしまうとは、と才人は己の不運を呪った。 『こんなに接近しても、ウルトラマンゼロの気配は微塵も感じられない。どうやら、お前だけが起きてて ゼロは力を取り戻していないようだな! ますます僥倖! ゼロが復活する前に、息の根を止めてくれよう! どうだぁ、私の悪賢さはぁ!』 しかも、ゼロが目覚めていないことまで知られてしまった。これでレギュラン星人は何があっても退いたりはしないだろう。 焦る才人。ミラーナイトたちを呼ぼうとしても、この距離だ。どう考えても相手の攻撃する方が早い。 カプセル怪獣も、先の戦いでの負傷があまりにも大きく、まだカプセルから出せない状態。丸裸も同然である。 いや、まだ己の肉体が残っている! 自分はともかく、せめてゼロの命は何としてでも守ろうと、 才人は自分の力で立ち向かう覚悟を固めた。 「おい、あんまり馬鹿にするなよ、レギュラン星人。ゼロの前に、この俺がいるぜ!」 精一杯の見得を切るが、レギュラン星人はむしろ大笑いした。 『グッハッハッハッハッ! ただの地球人風情が、このヅヴォーカァ様に勝てると思ってるのか? 思い上がりも甚だしいわ! グハハハハハ!』 「思い上がりかどうか……今に分からせてやるぜ!」 斧を投げ捨てた才人は、デルフリンガーへと持ち替える。しかしやはり、デルフリンガーを握っても ルーンがあった時のように身体はちっとも軽くならなかった。 「……相棒、無茶だ。今の相棒じゃ、勝ち目はねえよ。力の限り逃げる方がまだ助かる目がある」 デルフリンガーが警告する。しかし才人は引けなかった。 「ここで逃げたらテファたちが危ない。ゼロが起きてるなら……同じことを言うはずだぜ」 「相棒……」 「何。俺だって今までの戦いの間中、寝てた訳じゃないさ。宇宙最高の戦士の戦いぶりを、 すぐ側から見てきた。だから俺だって、いざとなりゃ戦えるはずだ!」 と、己に言い聞かせる才人。そう思わないことには、絶望で押し潰されてしまいそうだ。 「行くぞッ! うおおおぉぉぉぉぉぉッ!」 気合い一閃、才人が遮二無二突っ込んでいくが、 『ふんッ!』 レギュラン星人の放った光弾によって、デルフリンガーはあっさりと弾き飛ばされてしまった。 続く二発目が才人の足元に当たり、才人は衝撃で転倒してしまう。 「ぐぁッ!」 『口ほどにもない。想像したよりもはるかに弱いぞ。笑いすら起きんわ』 レギュラン星人は、嘲るを通り越して呆れ返っていた。 「く、くそぉ……」 仰向けに倒れたまま、悔しさに打ち震える才人。予想していなかった訳ではないが、本当に全く歯が立たない。 ゼロの力も、ガンダールヴの力もない自分が、本当にただの軟弱な高校生だという決定的な証拠を見せつけられた。 ガクガクと身を起こそうとする才人の腹を、レギュラン星人が踏みつける。 「がはッ!」 『あまりに張り合いのない終わり方だが、容赦はせん! 貴様はあの世でウルトラマンゼロに、 自分の弱さのせいで道連れにしたことを謝っておくんだな!』 押さえつけた才人を粉々にするだけの威力の光弾を、手の平に作り出すレギュラン星人。才人は最早逃げることも叶わない。 ああ、才人よ! そしてウルトラマンゼロよ! せっかく死の淵から生還する奇跡を手にしたというのに、 こんなにも早く死の世界へと押し戻されてしまうのか! だが、才人が助かる道はもうどこにも見当たらない! 才人の最期の瞬間が、もうすぐそこに迫ってきた! 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1515.html
ルイズ達一行は盛大な宴の最中に居た ラ・ロシェールでの傭兵の奇襲、アルビオンへと向かう船上での空賊の襲撃を切り抜けたルイズ達は 王党派最後の拠点であるニューカッスル城にまで辿り着いていた (何かある度にディアボロが再召喚される羽目になったのは言うまでもない、だがお陰で誰一人欠ける事無くここまで来れていた) だが辿り着いた時にはすでにニューカッスル城は5万を数える貴族派の軍勢に包囲されており、 貴族派の宣言した総攻撃により落城そして王党派の滅亡は避けられ得ぬものとなっていた ゆえに王党派は勝利が得られぬのならば、華々しき敗北によって義務を果たし名誉を守らんとすべく決戦を挑もうとしていた 宴は死を覚悟した者達の別れの宴なのだ 「名誉ってそんなに大事なものなの? 愛しい人を残してまで死を選ぶことに価値があるの? 分からない、全然分からないわ」 ウェールズ王子の死の決意に翻意を促すも退けられ、気落ちしたルイズは傍らに立つディアボロに問い掛ける 「他国の侵略を防げなかった無能としてはそれしか縋る物が無かったということだ、意地もあるだろうがな」 「意地?それに侵略って、内乱の筈でしょ」 「己が犠牲になれば貴族派はトリステインに対して開戦する理由を得られない、 それが愛する女に出来る唯一の事だとでも考えているのだろう、無駄な事だ 物資の流れからして貴族派に外国が介入していることは明らかだ、その行動方針も含めてな」 ディアボロは今まで得た情報から導き出した推論を馬鹿にした態度で語る 「じゃあ殿下にそのことをお伝えすれば…」 「それこそ無駄だ、意固地になるだけだろう」 「どうしろっていうのよ!」 「普段私にしている様に命令して見れば如何だ」 「命令…、そうか国王陛下なら…」 ディアボロの皮肉から閃いたルイズはすでに部屋に下がったアルビオン国王ジェームズ一世に謁見すべくその場を駆け出した 国王の部屋を前にしてルイズは弾む息を抑えていた 首尾よく国王を説得出来たなら、ウェールズ王子の命を助ける事が出来る アルビオンの滅びを止める事は出来ないが、悲しみを一つ減らす事が出来る 私はその為に此処に来た その為の行いを止める事は困難から逃げる事を意味する、それは貴族である事の否定だ それだけは嫌だ 困難に立ち向かいけして逃げない者こそ貴族なのだから そう考えながら扉を叩こうとしたルイズを呼び止める声がした 「ルイズ」 ルイズが振り向いた先には婚約者がその姿を見せていた 「ワルド、どうしたの」 「明日この城の聖堂で結婚式を挙げよう 立会人はウェールズ王子にお願いしてある、快諾して頂いたよ なにそんな大仰なものじゃない、気持ちを確かめ合うといった程度のものだ 正式な結婚式はトリステインに戻ってから君の両親の前でやりたいからね」 それだけ言うとワルドはルイズの返事を待たずに与えられた部屋へ戻っていった ルイズはしばし呆然とワルドが歩いていった先を眺めていた 予告された総攻撃の刻限が迫る中、ニューカッスル城の聖堂には美しき花が咲いていた 花の名はルイズ、花嫁の衣装を身に着けたルイズは見る者にため息を突かせぬには居られぬ程美しかった 「まさかルイズに先を越されるとわね」 「綺麗」 「馬子にも衣装だな」 3人の参列者は当初王党派最後の船に乗り城を離れる筈だったが、タバサの風竜に乗れば良いという事でこの場に残っていた 式は結婚の宣誓まで進んでいた 立会人を務めるウェールズがワルドに尋ねる 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド 汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか」 「誓います」 ワルドの返事を確かめ、続いてルイズに尋ねる 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 「殿下」 唐突にウェールズの言葉をルイズが遮った 「私はこれ以上この式が進む事を望みません」 「ルイズ、何を、何を言っているんだ?」 動揺を顕わにしたワルドがルイズに詰め寄る 「ワルド、貴方は今回の旅の目的を知っている筈よね、それに掛ける私の思いも でも貴方はそれを無視したわ、私の事を愛していると口で言いながら何か他の目的の為に動いているかの様に」 きっぱりとルイズが告げる 「だからワルド、私は貴方との結婚を望みません」 ルイズの言葉を受けたワルドはよろめく様に一歩下がる 「ルイズ、僕のルイズ、君がそんなことを言うなんて有り得ない、君は僕のものなんだ 君の力は、まだ眠っているだけの力は、誰よりも素晴らしいものなんだ、それは僕の為に」 「私の心も体も力も私の意志の下にあるわ、私が共に在りたいと願うのは私の意志と共に在ってくれる人 貴方の事をそうだと思っていたけれど違ったわ、貴方は自分の事しか考えていないもの、だから嫌、絶対に嫌」 決定的な拒絶を受けたワルドは顔を俯かせ低い声で呟いた 「そう確かに僕には僕の目的があった、君とは異なる3つの目的がね 一つ目は君だ、君の持つ力は何時か僕に必要になる筈だった 二つ目はアンリエッタ王女の手紙、レコン・キスタにとって絶好の材料だからね 三つ目は」 そこまで言うとワルドは杖を引き抜き閃光の二つ名に恥じぬ速度で呪文を唱えると後ろに立つウェールズに向かって突き刺した 「ウェールズ王太子の命!」 だが、 (手応えが無い!?) 杖はウェールズに突き刺さるどころか何も無い空間を虚しく灼いていた ウェールズの姿を求めて周囲を見回すと王子はルイズと共に凄まじい速さでワルドから離れていた (違う、二人が動いているのではない、これは自分が…) 自分の身に起きている事態を把握すべくワルドは自分の体が向かっている方向に顔を向けた すると参列者の席に座るルイズの使い魔の顔が見えた (イ、イカン、このままでは) ズッキュゥゥーーン! ■今回のボスの死因 ワルドのエアニードルに貫かれて死亡 ■おまけのワルド 花嫁と濃厚な間接☆キッス
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9230.html
前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第六十九話「あっ!ドラゴンもグリフォンも氷になった!!」 ミニ宇宙人ポール星人 隕石小珍獣ミーニン 凍結怪獣ガンダー 冷凍怪獣マーゴドン 登場 才人がふと目を開けると……自分が燃え盛る炎の中にいるのが分かった。 『な、何だこれ!? 俺は一体どうしたんだ……!』 仰天するものの、炎に囲まれているにも関わらず全く熱さを感じず、火傷もないことを すぐに把握した。しかも、自分の姿はグネグネと揺れ動いている。 『これは何事なんだ……?』 『地球人、ヒラガサイト! 聞こえているかね?』 戸惑う才人の目の前に、謎の三人の宇宙人のシルエットが現れる。手の平の上に乗ってしまいそうなほどに 異様に小さな体躯で、三角形状の頭部に直接手足が生えているような、見るからの異形だ。 才人はすぐに問う。 『お前たちは誰だ!』 『我々はポール星人! 過去に二度ばかり地球を氷詰めにしてやったことがある』 ポール星人。それはかつてウルトラ警備隊が冷凍怪獣ガンダーによって絶体絶命の危機に陥った際に、 隊員の一人が幻覚の中で目にしたという、ガンダーの黒幕の宇宙人だ。地球の氷河期は、このポール星人が 引き起こしたものだと彼らは語った。しかしその隊員が幻覚でしか目撃しておらず、実在の証拠が一つも ないので、その存在は大半の人間から疑われている。才人も噂でしか名前を聞いたことがなかった。 『お前たちも侵略が目的か!』 才人が問い詰めると、ポール星人は高笑いを発した。 『ハッハッハッ! そんな低俗なことに興味はない。我々の目的は、人間への挑戦! 我々はこの ハルケギニアに氷河時代を迎えさせる!』 『何だって!?』 『ハルケギニア上の生きとし生けるものが、全て氷の中に閉じ込められてしまうのだ! もちろん、お前さんも一緒だ! 寒い思いをするがいい!』 『そんなこと、ウルティメイトフォースゼロが許すものか!』 と告げる才人だが、ポール星人はまるで意に介さなかった。 『そんな奴らは、我々の敵ではない。言っただろう、我々は人間に挑戦するのだと!』 『どういうことだ!?』 『我々はかつて地球に三度目の氷河期をもたらそうとした。作戦は完璧だった! しかし我々は負けた。 ウルトラ戦士にではない。地球人の忍耐! 人間の持つ使命感に負けたのだ! だから、今度は人間に リベンジする! そう、地球人のヒラガサイト、君にだ!』 『な、何だって……!?』 唖然とする才人。自分が地球人の代表として、宇宙人と戦うのか。そんなことが出来るのか。 『我々の作戦は最早止めることは出来ない。ハルケギニアを氷の星にしたくなければ、我々の仕掛ける 勝負に勝ってみせることだな、ハッハッハッハッ……!』 そう言い残したポール星人の声がだんだんと遠ざかっていく。 『ま、待て! そんな勝手なことは……!』 許さない、と言いかけた才人だったが、それを言い放つだけの自信が今の彼にはなかった。 やがて炎の光景が薄れていき……。 「おいサイト! 起きやがれ! 朝だぜぇッ!」 グレンの大音量の呼び声によって、才人は目を開いた。 辺りを見回して状況を把握する。昨晩と同じ部屋の景色、同じベッド。どうやら先ほどまでのことは、 夢の中の出来事だったみたいだ。 「さぁ、シャキッとしな! 今日からお前の特訓を始めるぜ! すぐに支度するんだな! 朝食を忘れるなよ! 腹ペコのままじゃ力が出ねぇぞ!」 と言われて、才人は昨日決定したことを思い出した。今日から、グレンに鍛錬をつけてもらうことに なったのだった。とはいえ……。 「まだ外暗いじゃんかよ……」 「なーに言ってやがる! 特訓ってのは早起きしてやるもんだ!」 才人の反論はばっさりと切って捨て、グレンは彼を引っ張り出すように外へ連れていった。 「よぉし、まずは身体を動かすぜ。最初は腕立て百回からだ!」 グレンが何のためらいもなくそう言うので、才人は思わず目を見張った。 「いきなり百回!? そんな、俺始めたばっかりなんだから、もうちょっとお手柔らかに……」 「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇっての! 苦しくなきゃ訓練じゃねぇよ!」 しかし才人の言い分が超熱血のグレンに通るはずもなく、否応なくやらされる羽目になった。 腕立て百回の後は腹筋や背筋、グレンに延々叱咤されての走り込みなど……。とにかく基礎訓練を みっちりとやらされた。朝早くから始めたにも関わらず、終わる頃には日が頭の天辺まで昇っていた。 さすがにへばる才人だが、グレンの熱血っぷりはそれで留まらなかった。 「サイト! へたれてる暇はねぇぞ! こんなのは準備運動だ! ここからが本番よ!」 「えぇ!?」 「本番は実戦形式の手合わせだぜ! さぁ、どこからでも掛かってこいや!」 自分に殴りかかってくるよう手招きするグレン。さすがに待ったをかける才人。 「ち、ちょっと! 素振りとか、技の稽古とかないの!? まだ戦い方を全然習ってないんだけど……! それに俺はこれでも剣士だから、素手の戦いを習っても……」 するとグレンはこう返答する。 「実戦で使える技ってぇのはな、戦いの中で身につくもんだ! それに戦いの基本は格闘だぜ! 剣も格闘が出来るようになってから様になるってもんよ!」 「ほんとかよ……」 「ほんとだっつぅの! 俺たちいつも殴り合いで訓練してるからな! 分かったらとっとと来な!」 とにもかくにも、手合わせをしなくてはいけないみたいだ。とんでもない人を先生にしてしまったと、 才人は若干後悔した。 それでもグレンに遮二無二殴りかかっていくが……拳を突き出す前に殴り返されて転倒した。 「そっちから手を出してくるのかよ!」 「あったり前だろぉ!? 殴られるのを待ってる奴なんかいるかよ! さぁ、一発やられただけで 寝転んでんじゃねぇぜ! これがホントの戦いだったらお前は死んでるぞ! とっとと立ち上がって もう一度掛かってこいやぁ!」 「くっそぉぉぉ……こうなりゃとことんやってやるぜッ!」 才人は半ば自棄になり、グレンに挑んでいってはあしらわれるを繰り返す羽目になった。 ぶつかり稽古の中で、グレンから様々な指摘をされる。 「駄目だ駄目だ、そんなへっぴり腰じゃ! 男はもっとどっしりと構えるもんだ! 腰から拳に力を乗せろッ!」 「俺の腕の動きだけを見るんじゃねぇ! 相手の全身を見るんだ! そうすりゃ敵の動きも見えてくる!」 「動きが見えたら、それに合わせて自分も動くようにするんだ! 一つの戦い方だけじゃ 到底やってけねぇぜ! やり方? そういうのは教わるんじゃなくて自分で感じ取るもんだぜぇッ!」 グレンのしごきは本当に辛く苦しいもので、才人はどんどんとフラフラになっていく。 「はぁ、はぁ……薄々分かってたけど、本当に無茶させるな……」 「こんなのゼロのしごきに比べりゃ遊びみたいなもんだぜ? あいつ人と手首をつないだ状態で 崖登りさせたりとかするからな!」 「えっマジ!?」 ゼロの意外な一面を知ったりしながらも、才人は殴り合いの中で次第に戦い方というものを その身に吸収していった。 また、グレンは稽古の最中に、戦いに重要なことも教えてくれた。 「いいか、戦いで大事なのはいくつかあるが、一番は勢いだぜ! どんな奴が敵だろうと、 勢いのある方が戦いで勝つッ!」 「ほ、本当なのか……?」 「マジだぜ! 戦いには流れってもんが確かにあるのよ。その流れを掴んで勢いを出せれば、 多少強引にでも相手をねじ伏せられる! 逆にどんな力を持ってようと、勢いがない奴は 相手に押されちまう! どんな時も勢いを止めないことを忘れるなッ!」 手合わせという名の殴り合いは、小休止を挟みながらも夜遅くまで続いた。日が完全に 暮れた頃になって初めて才人は解放された。 「よぉし、今日はここまでにしようか。夜はしっかりと休んで体力を戻すんだぜ。明日も 朝早くから始めるからな!」 「あ、ありがとうございましたぁ……」 すっかりグロッキーの才人だが、礼を言うことだけはどうにか出来た。 汗だくの才人に、タオルが差し出された。 「使って」 タオルを持っているのはティファニアだった。上半身裸の才人を見るのが恥ずかしいのか、 頬を染めて横を向いている。 「ありがとう」 タオルを受け取って身体を拭く才人に、ティファニアが話しかける。 「特訓をしてるところ、何度か見学したけど……あの人、ほんとに厳しいのね。ああいうのを、 鬼教官って言うのかしら」 「そうだね。でも、お陰で自分がすごい早さで強くなってるような気がするよ。そこは感謝しなきゃな」 と語る才人の顔をまじまじと見つめるティファニア。 「どうしたの?」 「サイト……どうしてそんなに頑張れるの? あの人の課す特訓、いくら何でも無茶苦茶だわ。 一日中殴り合いさせるなんて……。わたしにはとても無理。いいえ、大の男の人でも根を上げる くらいだと思う。それなのに、あなたのどこからそんな力が湧いてくるの?」 その質問に、才人はしばし考えた後、次のように答えた。 「尊敬する仲間の頑張るところを、ずっと近くで見てたからかな……」 「仲間?」 「ああ。今は……側にはいないんだけどな、俺にはとても頼れる仲間がいるんだ。その人は、 どんな絶望的な逆境に置かれても、絶対に諦めることはなかった。そして懸命に戦い続けることで、 何度も奇跡の逆転を掴み取ってた。その後ろ姿を見てて、あの人みたいになりたいと心の底から 思ってるから……俺も、頑張らなきゃって思いが湧いて出てくるんだよ」 そう語る才人を、ティファニアは感銘を覚えたように見つめる。 「あなたって、偉いのね」 「こんなの、偉くなんてねえよ。単なる憧れさ」 「その思いでどんなに苦しくても頑張れてるじゃない。偉いわ。わたしね……」 ティファニアは、言葉を選ぶように、ゆっくりと言った。 「わたし、何かを一生懸命に頑張ったことってなかった。やりたいことはいっぱいあるはずなのに、 ただぼんやりと災いのない場所で暮らしてただけ」 「いいんじゃないの。大変だったんだから」 「ううん。それはなんか、逃げてるって気がする」 ティファニアは才人の手を握った。 「ありがとうサイト。わたし、もっといろんなものが見てみたくなった。昔住んでたお屋敷と……、 この村のことしか知らないから、まずは世界を見てみたい。世界って、いやなことばかりじゃない。 楽しいことも、素敵なこともきっとあるんじゃないかって……。あなたを見てたら、そう思うようになったわ」 才人は顔を赤らめた。 「ねえ、お友だちになってくれる? わたしのはじめての……、お友だち」 「いいよ」 「あなたが村を出るときには、記憶を消そうと思っていたけど……、消さない。お友だちにはずっと 覚えておいて欲しいもの」 「そっか」 二人は友情の誓いを結び合い、夕食を取ることにした。しかしその寸前、ふと才人は頭をひねる。 「そういえば……何かを忘れてるような気が……」 グレンの非常に厳しい訓練の中で、才人の頭からは今朝見た夢の内容がすっかりと飛んでしまっていた。 才人の特訓は三日間、ひたすら殴り合う形で続いた。才人にとっては地獄の責め苦が生ぬるく 思えるような過酷な時間であったが、グレンがつきっきりで指導し続けてくれたことで、 たった三日の中でめきめきと力をつけていった。 そして特訓の中で、グレンは才人にこんなことを聞いていた。 「なぁサイト、お前俺の旅についてきたいって言ったけど、ルイズの嬢ちゃんのところに 戻るつもりはほんとにないのか?」 「え?」 聞かれた才人は、ややうつむきながら肯定する。 「ああ……。俺はもうあいつの使い魔じゃないし、ゼロに変身も出来ないしな……。たとえどんなに 鍛えたところで、巨大怪獣や宇宙人はもちろん、ただの人間じゃメイジにもてんで敵わないだろ」 才人はそう思っていた。ギーシュ並みの素人ならともかく、ワルドのような本職の戦士のメイジには、 魔法という大きな武器が相手にある以上は、ルイズを守りながら戦うなんて無理だ。 「ルイズに敵が多い以上、あいつの足を引っ張る訳にはいかないんだよ……」 と言うと、グレンは真顔でこう告げてきた。 「そいつは違うだろ」 「え……?」 「力がどうとか、そういうことじゃねぇ。要はお前がどうしたいかっていう気持ちの問題だろうが。 お前、ほんとにこのまんまルイズに会わず終いでいいのか? きっと後悔すると思うぜ」 「そんな、気持ちがあったところで……」 「いいや、物事の一番大事なもんは、他ならぬ気持ちだぜ。どんな力があろうと、何の気持ちも ない奴には何にも始められねぇし、何にも成し遂げられねぇ。力がないから出来ねぇっていうのは、 どんなに言い繕っても甘えの言い訳だって俺は思うな」 「……」 「強い気持ちがありゃあ、何だってやれるはずだぜ」 そう説得された才人は、自分の本当にしたいことを考え直した。 しかし、その時には答えは出てこなかった。 そして四日目の朝……事件は起こった。 「は……はっくしょんッ! うぅ、寒ッ!」 今日も今日とて朝早くから特訓に励もうとした才人とグレンだったが、今日ばかりはそれは出来なかった。 何故なら、家の外に猛吹雪が吹き荒れているからだ。 「テファお姉ちゃん……寒い……」 「キュウ……」 「みんな、しっかり……!」 部屋にはウエストウッド村中の子供たちが集まっていた。ミーニンを中心におしくらまんじゅうのように 固まり、ありったけの毛布にくるまって暖を取ろうとしている。しかしそこまでやっても、子供には 耐えがたいほどの寒波が襲っているのだ。 「くっそぅ、どれだけ薪をくべても全然足りねぇぜ!」 グレンが暖炉に薪を放り続けて火力を強めているが、それでも寒さを追いやることは出来ない。 それどころか、家自体が吹雪の前に吹き飛んでしまいそうであった。天井がミシミシ音を立てる毎に、 子供たちが怯える。 「おかしいわ……いくら冬だからって、この時期にこんな大きな吹雪が発生するなんて……」 「そうか。異常気象って奴だな……」 ティファニアのひと言に、才人が深刻な顔でつぶやいた。雪山でも吹雪に遭遇したが、 今外で起きているこれは、それを上回るほどの異常な規模であった。 グレンも才人の意見に同意する。 「こいつはただごとじゃねぇぜ……昨日までは荒天の気配なんて全然なかったのに、こんなことに なるなんざ。何か原因があると思うな」 「でも原因ったって、外は真っ暗で何も見えないし……。デルフ、何か見えないか?」 「無茶言うなよ。伝説の剣たって、透視が出来る訳じゃねえんだ」 グレン、才人、デルフリンガーは窓から外を眺めるが、太陽の光は完全に閉ざされているので、 全く遠くが見通せない。しかし、 「……いや待った。今何か、変な音が聞こえなかったか?」 「確かに、風の音に紛れて何かが聞こえた気がするな。何かの動物のうなり声みてぇな……」 デルフリンガーの問いかけに、グレンが重々しい表情でうなずいた。 すると彼らの会話に合わせたかのように、吹雪が弱まって視界が開けていく。……いや、 この急激な天候の変化は不自然だ。まるで、「意図的に視界を開けている」ような……。 「プップロオオオオオオ!」 そして明らかに風と雪の音ではない音が、才人やティファニアたちの耳にもはっきりと届いた。 鳥とも、獣ともつかない異様な鳴き声だ。 「わああああッ!」 「お姉ちゃん、怖いッ!」 子供たちはますます怖がり、ティファニアが懸命に慰めている。 一方で窓の外の景色を覗く才人たちの目に、アルビオンの大地を覆い尽くした雪原の上に、 巨大生物がそそり立っている光景が飛び込んできた。 「プップロオオオオオオ!」 「あ、あいつは!!」 驚愕する才人。雪原の大怪獣……カタツムリのように突き出た目玉、たらこのような唇、 逆三角形状の翼、ドリル状の指を持ったその容姿は、凍結怪獣ガンダーのものであった。 ガンダーには吹雪を起こす能力がある。この異常気象の原因は、奴に相違ないだろう。 そしてガンダーといえば、あのポール星人と同時に現れ、ポール星人が操っていたという怪獣。 ということは、あの夢はただの夢ではなかったのだ! これはポール星人による、才人への挑戦なのだ! 「プップロオオオオオオ!」 荒れ狂う吹雪の中に仁王立ちするガンダーの姿を、各国の竜騎士、魔法騎士で構成された 混成部隊も確認していた。折しも今は戦争後の調停を執り行う諸国会議の最中。しかし突然 アルビオン全土を覆う規模の異常な猛吹雪が発生したので、急遽原因を究明する調査団が 結成されたのだった。 「やはり怪獣の仕業だったか……。ハルケギニア諸国の王が一堂に会されたこの時期に、 これ以上の狼藉は許さんぞ!」 トリステインの部隊の隊長が早速、部下たちに攻撃の合図を出した。自分たちだけの力で 怪獣を倒すことで、会議でも有利になろうという魂胆も含まれた決断だった。幸い、万一の時に 備えて対怪獣用兵器を用意してきている。 「如何にも火に弱そうじゃないか。この特製火石をお見舞いしてやる!」 グリフォンに跨った騎士二名が、改造ベムスターにも使用した巨大火石を運んできた。 それをガンダーの頭部に落として炸裂させ、一気に仕留める算段だ。 しかしその時、騎士たちに向けて一層強烈な冷気が襲いかかってきた! 騎士たちがみるみる内に 凍りついていく。 「ぐわぁぁぁぁッ!? な、何事だ!?」 ガンダーの反撃か。いや、それは違う。ガンダーはそっぽを向いているではないか。それに冷気は 別方向から飛んできている。 慌てて振り返った騎士たちは、冷気を放出している犯人の姿を目撃した。 「ガオオオオオオオオ!」 真っ白い毛で全身を覆った、翼の生えたマンモスのような怪獣。それは恐るべき大怪獣マーゴドンであった! 冷凍怪獣の中では最大級の能力の高さを誇り、いくつもの惑星を氷に閉ざして生物を死滅させた、まさしく 悪魔の如き怪獣なのだ! 「ほ、他にも怪獣がいたのか!」 マーゴドンは全身から冷気を噴出している。その冷気が騎士たちを纏めて窮地に追いやる! 「ぐわああああぁぁぁぁぁッ! こ、このままでは全滅だ! 奴に火石を食らわせろぉ!」 隊長が苦しみながらも指示を出したが、それは叶わなかった。 「だ、駄目です! 火石まで凍りついて、起爆できませんッ!」 「そ、そんな馬鹿な!? わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 猛烈な冷凍ガスを前にして、騎士たちは抗うことすら出来ずに凍結していく。騎士だけではない。 ドラゴンも、グリフォンもたちまちの内に凍りつき、雪に覆われた大地に向けて真っ逆さまに転落していった。 ハルケギニア各国の精鋭部隊が、たった一瞬の内に全滅してしまったのだった。 恐るべきポール星人の挑戦! ガンダーの、マーゴドンの冷たき脅威! アルビオンは、 いやハルケギニアそのものが、氷河期の危機に見舞われたのだ! 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9432.html
前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第百四十七話「決闘!ウルトラマンゼロ対悪のウルトラ戦士」 ウルトラダークキラー 悪のウルトラ戦士軍団 登場 六冊の本の旅を終えた才人とゼロだったが、ルイズの記憶は元に戻らなかった。更にはルイズが ダンプリメなる謎の人物に、本の中にさらわれてしまった! 才人たちはダンプリメの正体を、 ガラQに説得されたリーヴルから知らされる。ダンプリメは長い年月を経て本に宿った魔力が成長して 誕生した存在であり、人間に関心を持った末に莫大な魔力を秘めているルイズを自分のものにしようと、 リーヴルを脅して今回の事件を仕組んだのであった! そんなことを許せる才人ではない。彼は リーヴルの手を借りて、ダンプリメが待ち受ける七冊目の世界へと突入していった……! 「うッ……ここは……」 才人がうっすら目を開けると、そこはもう図書館ではない別の場所であった。本の中の 世界に入ったに違いない。 しかし七冊目の本の世界は、これまでの六冊の世界とは大きく異なっていた。それまでの 本の世界は、様々な宇宙の地球の光景そのままの街や自然で彩られた景観が広がっていたのに、 この世界は360度見渡す限り薄暗い荒野が続いていて、石ころとほこりしかないようであった。 「随分殺風景だな……。至るところに何もないぜ」 「それはそうさ。この本の物語はまだ一文字たりとも書かれていない。だからこの世界には まだ何もないのさ」 才人の独白に対して、背後から返答があった。才人は即座にデルフリンガーを抜いて振り向いた。 「ダンプリメ!」 果たしてそこにいたのはダンプリメ。才人のことを警戒しているのか、デルフリンガーの刃が 届かない高さで浮遊している。 「物語はこれから綴られるんだ。ウルトラマンゼロ……君たちが敗北し、ボクとルイズの永遠の 本の王国が築かれるハッピーエンドの物語がね」 ダンプリメはすました態度でこちらを見下ろしながら、そんなことを言い放つ。対して才人は、 デルフリンガーの切っ先をダンプリメに向けて言い返した。 「残念だったな。これから書かれるのは、俺たちがルイズを救出して現実世界に帰るハッピー エンドの物語だ!」 早速ダンプリメに斬りかかっていこうと身構える才人だが、それを察知したダンプリメは 才人から距離を取りつつ告げた。 「まぁ落ち着きなよ。そう勝負を急がずに、前書きでも楽しんでいったらどうだい? たとえば、 ボクがどうして六冊もの本の世界を君たちにさせたのか」 「何?」 自在に宙を舞うダンプリメが逃げに徹していると、才人も狙うのが難しい。相手の動きを 常に警戒しながら、ダンプリメの発言を気に掛ける。 「ルイズを手に入れる上で最大の障害である君たちを排除するため……おおまかに言って しまえばそういうことだけど、それは旅のどこかで本の怪獣たちに倒されればいいな、 なんて希望的観測じゃないんだよ。ボクも、そんな不確実な方法に頼るほど馬鹿じゃない」 「じゃあ何のためって言うんだ」 才人が聞き返すと、ダンプリメは自分でも言っていたように、遠回りな説明を始める。 「ところでボクは本から生まれた存在なだけに、その知識量はこの世界の誰の追随も許さない ものと自負している。何せ、トリステインの図書館の蔵書数がそのままボクの知識だからね。 それは世界の全てを知っているということに等しい。それこそあらゆることをボクは知っているし 実際に行うことも出来る……剣術も間合いの取り方だって達人のレベルさ」 いつの間にか、ダンプリメが剣を手に才人の背後にいた! 間一髪察知した才人は振り向きざまに、 相手の斬撃をデルフリンガーで弾く。 「図に乗るな! いくら本の内容を全部知ってるからって、世界の全てを知った気でいるのは 自惚れだぜ!」 「そうだね。逆に言えば、本に書かれてないことをボクは知らない。そう、君の中の光の戦士、 ウルトラマンゼロ。それなんかがいい例だ」 単なる余興だったのか、剣を弾かれても平然としているダンプリメは、才人の胸の内を指差した。 「ハルケギニアの外の世界からやって来て、超常的な力であらゆる敵を粉砕する無敵の戦士。 その力の前では、どこまで行っても本の世界から外に出ることは出来ないボクは呆気なく 粉砕されてしまうだろう。そう考えたボクは、リーヴルを通じてある策を実行した。無敵の ウルトラマンゼロを『本の中の登場人物』にしてしまうというね」 「何!?」 ここまでの説明で才人も、ダンプリメの狙いが薄々分かってきた。 「本の中に引き込んでしまえば、ボクは相手の能力を分析することが出来る。六冊分もの 旅をさせて、既にウルトラマンゼロの力は隅々まで把握してるよ。……だけど、狙いは それだけじゃあないんだ」 「まだあるってのか!」 「旅の中で、君たちは度々その本の世界には本来存在しない怪獣と戦っただろう。あれらは ボクの介入で出現したんだ。何でそんなことが出来たのかって? それはこの『古き本』の 力によるものさ!」 ダンプリメが自慢げに取り出して見せつけたのは一冊の本。それは……。 「怪獣図鑑!?」 どこで出版されたものか、古今東西の様々な怪獣の情報が記載されている図鑑であった。 そんなものまでトリステインに流れ着いていたのか。 「それだけじゃない。本の中の存在も生きてるんだよ。本の中の怪獣が君たちに倒されるごとに 生じた怨念のエネルギーも、ボクは集めてたんだ。そういうこともボクは出来るんだよ」 それは黒い影法師の力か。ダンプリメはそんな能力まで学習していたのだ。 そしてダンプリメの周囲に、六つの禍々しく青白い人魂が出現する。 「……それが真の狙いかよ!」 「さぁ、機は熟した。ウルトラマンゼロへの怨念が一つになり、今こそ誕生せよ! ゼロを 上回る最強の戦士よッ!」 ダンプリメの命令により人魂が一つになり、マイナスエネルギーも相乗効果によって膨れ上がる。 そして人魂が巨大化して戦士の形になっていった! 「あ、あれは……!」 新たに生まれた、邪悪な力をたぎらせる巨人の戦士を見上げて、才人は思わずおののいた。 あまりにもおぞましいオーラを湛えた異形の姿だが、胸の中心に発光体を持つその特徴は、 明らかにウルトラ戦士を模していた。頭部には四本ものウルトラホーン、腕にはスラッガーが 生えていて、様々なウルトラ戦士の特徴を有しているようである。 「目には目を。歯には歯を。古い言葉だが、ウルトラマンを葬るのにも闇のウルトラマンが 最もふさわしいだろう。君たちウルトラ戦士を抹殺する闇の戦士……ウルトラダークキラー とでも呼ぼうかな」 「馬鹿な真似はよせ! 闇の力ってのは、手を出したら取り返しがつかないことになるぞッ! 今ならまだ間に合う!」 警告を飛ばす才人だが、ダンプリメは取り合わず冷笑を浮かべるだけだった。 「おやおや、ウルトラダークキラーを前にして臆病風に吹かれちゃったかな? 君が勇士と いうのは、ボクの買い被りだったかな」 「……どんなことになっても知らねぇぞッ!」 才人はやむなくウルトラゼロアイを装着して変身を行う。 「デュワッ!」 才人の身体が光り輝き、この暗い世界を照らそうとするかのように閃光を発するウルトラマン ゼロが立ち上がった。 「ふふ、いよいよ最後の決戦の始まりだ。さぁウルトラダークキラーよ、恨み重なるウルトラマン ゼロをその手で闇に還すがいい!」 ダンプリメの命令によって、ウルトラダークキラーが低いうなり声を発しながら腕のスラッガーで ゼロに斬りかかってきた! 「セアッ!」 こちらもゼロスラッガーを手にして対抗するゼロだが、ダークキラーの膂力は尋常ではなく、 押し飛ばされて後ろに滑った。 『くそッ、とんでもねぇパワーだな……!』 ダークキラーは倒した本の怪獣全ての怨念の結集体というだけあり、力が途轍もないレベル だということが一度の衝突だけでゼロには感じられた。 『こいつは全力で行かねぇと駄目なようだな! デルフ!』 そこでゼロはゼロスラッガーとデルフリンガーを一つにして、ゼロツインソードDSを作り出した。 本の世界では一度も使用していないこれならば、ダンプリメも対策はしていまい。 『こりゃまた歯ごたえのありそうな奴じゃねぇか。相棒、遠慮はいらねぇ。かっ飛ばしな!』 『もちろんだぜ! はぁぁぁぁぁッ!』 ゼロはツインソードを両手に握り締めて、一気呵成にダークキラーへと斬りかかっていった。 ゼロツインソードとダークキラーのスラッガーが激しく火花を散らしながら交差する。 ダークキラーはその内にゼロを突き飛ばすと、スラッガーを腕から切り離して飛ばしゼロへ 攻撃してきた。 「セェェアッ!」 ゼロは一回転して迫るスラッガーをツインソードで弾き返す。スラッガーがダークキラーの 腕に戻った。 『なかなかやるじゃねぇか……』 一旦体勢を整えて、ひと言つぶやくゼロ。ダークキラーの戦闘力はかなりのもので、 ゼロツインソードを武器にしてもやや押されるほどであった。しかし、ゼロは決して戦いを あきらめたりはしない。どんな相手だろうとも最後まで立ち向かい、勝利をもぎ取る覚悟だ。 だが、この時にダンプリメが次のように言い放った。 「そっちもさすがにやるものだね。このダークキラーに食い下がるなんて。……だけど、 ボクはより確実に君を倒す手段を用意してるんだよ」 『何!?』 「さぁ、ここからが本番だッ!」 パチンと指を鳴らすダンプリメ。それを合図にしてダークキラーの身体から怨念のパワーが 次々と切り離されて飛び散り、それぞれ実体と化してゼロを取り囲む。 それらは全て、ダークキラーと同じように暗黒のウルトラ戦士の形を成した! 『な、何だと……!?』 カオスロイドU、カオスロイドS、カオスロイドT、ダークキラーゾフィー、ダークキラージャック、 ダークキラーエース、ウルトラマンシャドー、イーヴィルティガ、ゼルガノイド、カオスウルトラマン、 カオスウルトラマンカラミティ、ダークメフィスト……ウルトラダークキラーも含めたら何と十三人にも 及ぶ悪のウルトラ戦士軍団! ゼロはすっかり囲まれてしまった! 『おいおいおい……こいつぁ絶体絶命って奴じゃねえか?』 口調はおちゃらけているようだが、その実かなり本気でデルフリンガーが言った。 「行くがいい、ボクの暗黒の軍勢よ! 恨み重なるウルトラマンゼロを葬り去れッ!」 ダンプリメの号令により、悪のウルトラ戦士たちが一斉にゼロへと襲いかかる! ゼロは ツインソードを握り直して身構える。 『くぅッ!?』 カオスロイドやダークキラーたちが飛びかかってくるのを必死でかわし、ツインソードを振り抜いて ウルトラマンシャドーやゼルガノイドを牽制するゼロ。だが悪のウルトラ戦士は入れ替わり立ち代わりで 攻撃してくるので、反撃の糸口を掴むことが出来ない。 そうして手をこまねいている内に、カオスロイドSのスラッガー、ウルトラマンシャドーの メリケンパンチにツインソードが弾き飛ばされてしまった。 『し、しまった!』 回収しようにも、カオスウルトラマンたちやダークメフィストが立ちはだかって妨害してきた。 立ち往生するゼロをイーヴィルティガ、ゼルガノイドが光線で狙い撃ってくる。 『うおぉッ!』 懸命に回避するゼロだったが、十三人もの数から狙われてそうそう逃げ切れるものではない。 ウルトラダークキラーを始めとした悪のウルトラ戦士たちの光線の集中砲火を食らい、大きく 吹っ飛ばされた。 『ぐはあぁぁぁッ!』 悪のウルトラ戦士はどれも本当のウルトラ戦士に迫るほどの恐るべき戦闘能力を持っている。 しかもゼロがたった一人なのに対し、二桁に及ぶ人数だ。多勢に無勢とはこのことで、ゼロはもう なす術なくリンチにされている状態であった。 完全に追いつめられているゼロのありさまに、ダンプリメが愉快そうに高笑いした。 「ははは……! 実質一人で乗り込んでくるからこんなことになるのさ。仲間を危険な罠から 守りたかったのかもしれないけど、一緒に本の世界の中に入る方が正解だったのさ」 今もなお袋叩きにされているゼロを見やりつつ、勝ち誇って語るダンプリメ。 「君はこれまで、一人の力だけで勝ってきた訳じゃないようだね。仲間の助けを受けることも あった。……だけど、この本の世界では君の仲間なんてどこにもいない。君は独りなのさ、 ヒラガ・サイト……ウルトラマンゼロッ!」 最早エネルギーもごくわずかで、息も絶え絶えの状態のゼロにウルトラダークキラーが カラータイマーからの光線でとどめを刺そうとする……! その時であった。 「それは違うわ!」 突然、ダンプリメのものではない甲高い声……才人たちにとって非常に慣れ親しんだ声音が 響き渡り、ダークキラーがどこからともなく発生した爆発を受けてよろめいた。 恐るべき暗黒の戦士のウルトラダークキラーの体勢を崩すほどの爆撃……それも才人たちは よく覚えがあった。 『ま、まさか……!』 ゼロが振り向くと、その視線の先に……桃色のウェーブが掛かった髪の少女が腰に手を当て、 無い胸を張っているではないか! 『ルイズッ!!』 才人は歓喜や驚愕、疑問など様々な感情が入り混じった叫び声を発した。また驚き、動揺 しているのはダンプリメも同じだった。 「そ、そんな馬鹿な! ルイズの意識は確かに眠らせていたはず……それがどうしてこの場に いるんだ!?」 ルイズはダンプリメの疑問の声が聞こえなかったかのように、ゼロに向かって叫んだ。 「ゼロ、しゃんとしなさい! あなたは独りなんかじゃない。……本の世界でも、あなたは たくさんの人を助けて、絆を紡いでいったんでしょう? わたし、覚えてるわよ!」 そして空の一角を指し示す。 「ほら、みんなが駆けつけてくれたわよ!」 ルイズの指差した方向から、ロケット弾や光弾が雨あられと飛んできて、ゼロに光線を 発射しようとしていたカオスロイドU、S、カオスウルトラマン、カラミティの動きを阻止した。 『あれは……!』 ゼロの目に、この場に猛然と駆けつけてくるいくつもの航空機の機影が映った。 ジェットビートル、ウルトラホーク、テックライガー、ダッシュバード! どれも各本の世界で 共闘した防衛チームの航空マシンだ! 「何だって……!?」 またまた絶句するダンプリメ。だがそれだけではなかった。 「彼らだけじゃないわ。ほら見て! みんなやって来たわよ!」 各種航空機の編隊に続いて飛んでくるのは……あれはウルトラマン! ウルトラセブン! ゾフィー! ジャック! エース! タロウ! コスモスにジャスティス! マックス! ティガにダイナにガイアも! 計十二人ものウルトラ戦士がマッハの速度で飛んできて、 ゼロを守るようにその前に着地してずらりと並んだ。さすがの悪のウルトラ戦士たちも、 この事態にはどよめいてひるんでいる。 『み、みんな……!』 声を絞り出す才人。最早言うまでもないだろう。彼らは六冊の本の世界の旅の中、才人と ゼロが出会い、助け、助けられた者たちである。 才人は最後の旅の終わり際にティガ=ダイゴが言っていた言葉を思い出した。「この恩は 必ず返す」……その約束を果たしに来てくれたのだ! 『みんな、本の世界の枠を超えて、助けに来てくれたのか……!』 強く胸を打たれるゼロ。彼はコスモスとジャスティスからエネルギーを分け与えてもらって、 力がよみがえった。 そしてルイズが救援のウルトラ戦士たちに告げるように、高々と宣言した。 「さぁ、行きましょう! このウルトラマンゼロの物語をハッピーエンドにするために!!」 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔
https://w.atwiki.jp/dra-gon/pages/37.html
金剛弘樹(0) 金剛 弘樹(こんごう ひろき、1979年2月12日-)は、プロ野球中日ドラゴンズの投手である。背番号は0番。 略歴 * 身長・体重 1m81cm、81kg * 投打 右/右 * 出身地 埼玉県入間市 * 血液型 O * 球歴・入団経緯 帝京高-立正大-朝日生命-日本通運-中日ドラゴンズ(2005年-) * プロ入り年度・ドラフト順位 2004年(9巡) * 年俸:950万円(2007) 引用元Wikipedia
https://w.atwiki.jp/yamamura2/pages/6248.html
【TOP】【←prev】【SUPER Famicom】【next→】 Dragon s Earth タイトル Dragon s Earth ドラゴンズアース 機種 スーパーファミコン 型番 SHVC-DG ジャンル シミュレーション 発売元 ヒューマン 発売日 1993-1-22 価格 8500円(税別) 駿河屋で購入 スーパーファミコン
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1220.html
前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編 「もう半日以上経っているぞ?魔法衛士隊の連中は化け物か」 「グリフォンと馬では勝手が違うのかも知れませんね……」 「そういうものかね」 「知りませんよ……」 「……大丈夫かね?」 ギーシュが言ったとおり、半日ほど馬に乗りっぱなしである二人であった。 元々乗馬の経験があるギーシュはまだ何とか体勢を保っていたが、 ルージュはと言うと、完全に馬の上でぐったりしている。 ギーシュはそんな様子を見て、不思議そうに言った。 「君はもっと体力がある方だと思ったがね」 「……何でです?」 「ちょっと剣を振ってみたんだがね、あれは結構疲れた」 「……そうですか」 「……本気で疲れてるようだね……」 そこに、ワルドの怒鳴り声が聞こえた。 「早くしないと、置いていくぞ!」 ……彼にしては珍しく、少し苛ついた。 「……『デュレイオーダー』」 グリフォンの速度を、少しずつ下げていった。 そのうち、ろくに操れていない馬の方が早くなる。 ルージュは追い越して、距離がある程度経つと息切れしながら、 何とか出せる限りの大きな声を出した。 「早くしないと……置いてきますよ……」 そのまま走り去る。 まぁ、『デュレイオーダー』は時間が経てば解けるし、 グリフォンの元の速度が馬より速いから、さして問題ではないのだが。 事実、その後ルージュの馬はワルドのグリフォンにあっさり抜き返された。 まぁ、そんな事をしていたので、馬を乗り換えながらも、 夜深くにようやくアルビオンの玄関口たるラ・ロシェールについたのだが。 「ゼェ……ハァ……」 「本気で辛そうだね……君は……」 「まだですか……」 「それはもうかれこれ12回聞いた気がするんだが…… だけど、もうすぐ着くよ」 その言葉にルージュは顔を上げて周りを見回した。 港町と聞いていたが、山だらけである。 「……シップがないのに、高地に港町があるんですか?」 「シップ?なんだねそれは」 「……船です」 「別におかしく無いじゃないか」 「……?」 その時、彼らめがけて崖上から火のついたたいまつが投げ込まれる。 馬がそれに驚き、暴れ出した馬にギーシュとルージュは捕まっていられなかった。 その後数本の矢が飛んでくると、ギーシュが叫ぶ。 「奇襲だ!」 「……」 「ブルー!寝てないで応戦したまえ」 「もう止めてくださいギーシュ……僕のLPはもうゼロです」 「ゼロになったら死ぬんじゃないのかね」 「宿屋に行けば大丈夫です……というわけで後は任せました……」 「いや、そういうわけに――」 矢が横をかすめて飛んできたので、ギーシュは黙り込む。 「むう、どうも一人でなんとかしなきゃならないみたいだね……」 ギーシュはそう言って矢の飛んでくる方向に大体の当たりを付け、 錬金で壁を作り出し、そこに隠れた。 「さて、近づいてきてくれれば僕でもどうにか出来るかも知れんが、 このままもう一回たいまつを投げ込まれたらどうしようか」 と、そこにワルドが戻ってくる。 飛んできた矢を、竜巻を作り出してはじき返した。 「子爵!」 「野党か山賊の類か?」 横で呆然としていたルイズが、続く。 「アルビオンの貴族派ってことは……」 「貴族ならあんな手は使わん」 その言葉に、寝ていたルージュは少しの違和感を感じた。 (そう言えば、今朝方も変だったな。 なんであの紹介でルイズの使い魔だと解ったんだ?) あの説明ならば、ギーシュと『その』使い魔のブルー、と捉えてもおかしくはない。 だが、それは個人の捉え方。どう解釈してもおかしくはない。 しかし。 (貴族派、と言ってもまさか全員が貴族というわけじゃないだろうし) そして思考をより深くしようとして、 どこからか聞こえてきた翼の音に、思考を中断させる。 崖の上から悲鳴が聞こえてくる。恐らく、たいまつや矢を飛ばしてきた者達だろう。 暗くて遠くなので良く見えないが、数回雷光が閃くと、その男達の姿が見えた。 「『風』の呪文……にしては妙だな」 雷撃に撃たれた男達ががけの上から転がってくる。 崖の上に何かが降り立つと、月からの逆光でシルエットが浮かび上がる。 「あれって……」 それは再び飛び上がると、此方に向かって飛翔してきた。 近づいてくると、その姿と、上に乗った二人組が見える。 「タバサ!クーン!後キュルケ」 「なんであたしはついでなのかしら?」 「何しに来たのよ!?」 「追ってきたのよ。思ったより時間がかかったけどね」 キュルケは雷竜の背中から飛び降りると、 転げ落ちていた男達を足で軽くこづく。 「で、こいつらどうするのよ?」 「僕に任せてくれたまえ」 と、ギーシュが一歩前に進み出る。 「君たちは何だね」 「ただの盗賊だよ」 ギーシュが振り返る。 「だそうだ」 「……いや、色々と突っ込むところが多すぎて逆に……」 「やるなら徹底的に」 といい、今度はタバサが前に進み出る。 「なんだ、今度は嬢ちゃんか、俺達はただの盗賊だって――」 返事はせず、タバサは小さく呟き、杖を振る。 幾つかの氷の矢が、自称盗賊達をかすめて地面に突き刺さる。 「……わ、解った。酒場で酒を飲んでたら、男と女の二人組に雇われたんだ」 「詳しく」 「女の方はフードを被ってたからよく解らねえ。 男の方は仮面を被っててよくわからなかったが、そうだな……身長はそこの兄ちゃんぐらいだな」 と、ワルドの方を見やって言う。 「それと、二人ともメイジだったな」 「それだけ解ればいい」 タバサが振り返る。 それに対し、ワルドが言う。 「……ふむ。捕縛したい所だが、時間がない。 ここは放置して先を急ぐとしよう」 と、ルイズを連れてグリフォンにまたがる。 ギーシュとルージュも馬に乗った。 彼らが進むその先に、ラ・ロシェールの灯が煌めいていた。 彼らが去った後。 「畜生、割の良い仕事だと思ったら、相手がメイジなんて聞いてねえぞ!」 「あんな人数のメイジを相手なんて、金貨200でも足りねえよ……」 と、そこに白い仮面を付けた男が現れる。 男達のうち一人はそれに気付くと、ぶっきらぼうな口調で言う。 「おい、いくら何でもメイジ相手は無茶ってもんだろう、旦那よ」 「そうか、だがまだ働いて貰うぞ」 「あぁ?俺達は今さっきガキのメイジ一人にあしらわれたんだぞ? こんな仕事やってられるか!降りるぞ!」 「そうか」 冷たく言うと、男は腰に下げた紅い剣を抜きはなった。 「な、何だ、やろうってのか?」 「逃げれば殺すと言っただろう」 「へ、へへ。剣を使うって事はてめぇメイジじゃねぇな。 この人数相手に勝てると思うのか!?」 と、周囲に寝転がっていた男達が立ち上がり、各々の獲物を手に取る。 「そうだ、てめえから金を奪えば良いじゃねえか。 まさかあれだけって筈もないだろ……やっちまえ!」 男達が、仮面の男に武器を構えて駆ける。 仮面の男はそれを平然と眺めて、手にある剣を一閃した。 剣がふくれあがった。そう表現するのが一番正しい。 紅く透き通った巨大な刀身が仮面の男を中心に振り回されると、 男達が身体を真横に両断される。 「……な、なにが…………は」 胸の辺りを切断された男は、最後の吐息を漏らすと、 それ以上話す事は出来なかった。 仮面の男が、その場を立ち去る。 後には、骸だけが残った。 『女神の杵』亭という、結構豪華な宿に泊まる事になった一行は、ぐったりしていた。 いや、どちらかというとルージュのみがぐったりとしていた。 ギーシュは、ワインを飲んでくつろいでいる。 キュルケはタバサに話しかけている。タバサは本を読んでいる。 つまり会話が成り立っていない形になる。 ルイズはと言うと、ワルドと共に『桟橋』に乗船の交渉に行っている。 ルージュが机に寝そべったまま、ギーシュの方を向き、聞いた。 「ギーシュ、さっき船がどうとか言ってたよね?」 ギーシュは、口に含んでいたワインを飲み込む。 「確かに言ったね」 「高地にあるって事は……まさか飛んだりはしない?」 「飛ぶに決まってるじゃないか。アルビオンに行くのだから」 と、そこでルイズとワルドが帰って来た。 一同が集まっていた卓の空いている席に座る。 「アルビオンへの船は明後日にならないと出せないそうだよ」 「一刻を争うのに……」 「良いじゃないですか、無理に急いだって良いことはありませんよ」 ルージュが言うが、その様子を見てると誰もが同じ感想を抱く。 休みたいだけじゃないのか?そんな視線に晒されても彼は動じない。 キュルケがそこで話題を変える。 「アルビオンに行ったことはないからわかんないけど、 明日は船が出せないの?」 「明日は月が重なるだろう?その翌日に、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくのだ」 そして、三つの鍵を机の上に置いた。 「今日はもう休もう、部屋をとっ……ってあれ?」 鍵がいつの間にか二つになっている。 見ると、ルージュが既に部屋のある上への階段を上っていた。 ワルドはそちらを見てから、もう一度卓についている者の方を向く。 「……キュルケとタバサ、彼とギーシュ、僕とルイズが相部屋だ」 前ページ次ページゼロの使い魔・ブルー編